英語の返り読みを矯正しよう

2017年1月25日

英語の「返り読み」とは、英語を読み上げるときに、いったん日本語の語順に合うように変換してから理解して読み進めることです。返り読みは、日本人の英語学習者に非常に多く見られる一種のクセですが、これを矯正することで、英会話能力にも大きな向上が期待できます。

例えば、「I go to the park.」は「私は公園に行く」ですが、英語を話す外国の方は「私は/行く/公園に」というように、英語の語順のまま理解することが普通です。

ところが、日本人の英語学習者の多くは、頭のなかで、英語の語順を日本語の語順に置き換えてから理解しようとします。これが返り読みです。

なぜ返り読みというのかといえば、英語は「I go to the park.」=「I /go to/the park.」=「私は/行く/公園に」と考えるのに対し、日本語は「私は/公園に/行く」です。

つまり、英語は最初の主語のあとは動詞・助動詞など動作を表す表現が先にくるのに対し、日本語は主語の次に目的語など動作の対象となる表現が先に来るため、英語の語順を日本語の語順に置き換えようとすると、いったん最後まで読んでから動詞などに読み返す必要がでてくるわけです。

「I /go to/the park.」の例でいえば、返り読みをする方は、いったん文末のthe parkまで読んでから、go toまで返ってきて、「公園に/行く」と言うわけです。ここでは、返り読みを行うと、go toを二度読んでいることになります。

返り読みの何が問題なのか

これが短い文であれば、さほど違いは無いのかもしれません。しかし、少しでも複雑な英文になると、この返り読みは、英語を早く理解してスムーズにコミュニケーションを行う上での、大きな壁となることは明らかです。

ここで、オンライン英会話でも教材に使われることが多い、アメリカの国営ラジオ放送VOAのニュース記事から引用した英文を具体例として挙げていきます。

「Sosa is a Northern Arizona University professor who heads the school’s Child Speech and Language Lab.」は、「ソーサ氏は、北アリゾナ大学における子どもの言葉や言語に関する研究所の責任者を務めている教授です」と訳せます。

これを、英語を話す外国の方は、「Sosa is /a Northern Arizona University professor/ who heads /the school’s Child Speech and Language Lab.」=「ソーサ氏は/北アリゾナ大学の教授/責任者である/子どもの言葉や言語に関する研究所について/」と、英語の語順通りに理解することが一般的です。

それに対して、返り読みを行う方は、いったん最後の「the school’s Child Speech and Language Lab」まで読んでから、「Sosa is 」(ソーサ氏は)→「the school’s Child Speech and Language Lab.」(北アリゾナ大学における子どもの言葉や言語に関する研究所についての)→「who heads」(責任者である)→「a Northern Arizona University professor」(同大学の教授である)と読み返して日本語の語順で理解しようとします。

つまり、返り読みを行うことは、英文を読むたびに、語順を日本語に適した形に置き換えていることになり、それだけ英語を理解するのに手間をかけているということになります。

返り読みは、日本の英語教育が長文読解や英作文といった読み書きを重視し、リーディングやライティングにおいて正確な文法に基づく知識に偏りすぎていることも、大きく影響していると思います。

しかし、返り読みは英会話において、やり取りのたびに「英語→日本語」という語順の並び替えを挟むことになり、自分が話す際の英語も「日本語→英語」という置き換えが抜けきれず、円滑な英会話の妨げにもなりますし、複雑で高度な考え方を表現する技能を身につける上では、大きなボトルネックになりかねません。

簡単な挨拶や自己紹介程度の英会話なら難なくこなせるが、ある程度まとまった考えを英語で表現したり、相手の考えを英語で理解したり、英字ニュース記事などの長文をすらすらと速読するためには、この返り読みを矯正する必要があります。

返り読みを矯正するには

返り読みを矯正するには、いままでの「英語→日本語」という置き換えるクセを取り去り、英語を話す外国の方々のように「英語→英語」という、英語本来の語順そのままで読み取る能力を身につけることです。

もちろん、意味もなく、単なるアルファベットの文字列としてやみくもに単語の語順通り追っていれば良いというものではありません。英語を意味のあるまとまりとして、左から右に流れるように読み取り、その語順を一通り追ったら、その意味のまま受け取るということです。

例えば、先ほどのVOAから引用した同じ記事に、「There was even more information given by parents as their babies looked at the pictures in books, Sosa said.」という英文があったので、これを実例として取り上げていきます。

これの日本語訳は、「乳児が本の中の挿絵を見ている際、親はさらに多くの情報を伝えた、とソーサ氏は語りました。」となります。

この英文を読みながら、「There was /even more information /given by parents/ as their babies/ looked at the pictures/ in books/, Sosa said.」と、鉛筆などで「意味のあるまとまり」ごとにスラッシュ(斜め線)をかけていきます。

それと同時に、スラッシュをかけながら、「There was」(そこにあった)→「even more information」(さらに多くの情報が)→「given by parents」(親が伝えた)→「as their babies」(乳児が)→「looked at the pictures」(挿絵を見ている)→「in books」(本の中の)→「, Sosa said.」(ソーサ氏が言うには)という順で意味を読み取っていきます。

このように、英文を意味のあるまとまりごとに順を追って読み解くことで、いちいち英文をいったりきたり返り読みするのではなく、英語を英語の語順のまま理解する能力を身につけることができます。

これを、「正しい日本語訳になっていないではないか」と思われる方も少なくないでしょう。学校教育の英語なら、これからさらに、日本語として意味が通じる文章に形を整える必要があるでしょう。しかし、ここでは、大学入試などの英文和訳をするわけではありません。

実際に英語を話す外国の方は、このように英語を英語の語順のまま解釈し、自分で話すときも英語が本来持っている語順に従って考えた上で発言しています。よどみなく、スムーズな英会話を実現させるためには、この「英語のルールに沿った英語のやり取り」を実践する必要があると思います。

もしこれをやらず、いつまでも返り読みのクセが抜けなければ、「There was /even more information /given by parents/ as their babies/ looked at the pictures/ in books/, Sosa said.」の最後まで読んでから、また最初から読み返し、日本語に直すという作業を行うことになります。

英文を読み取ったり聞き取ったりするときに、日本語としても意味が通じる文章として解釈する能力も、必要な場合があります。ただ、より早く英語の内容を理解し、英文をスムーズに読み解くためには、厳密に日本語に直すことよりも、英語を英語の語順のままで理解する能力のトレーニングをおすすめします。

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