グロービッシュ/簡易英語の手法を取り入れよう

グロービッシュは、フランス人ビジネスマンのジャン=ポール・ネリエールが国際共通語として提唱した、英語の考え方の一種です。使用する語彙を最低限に絞り、厳格な文法や発音のルールにこだわらないことで、短期間での英会話スキルの習得を目指すものです。

グロービッシュに限らず、「簡易英語」(または簡易型英語)と呼ばれる考え方について、従来からさまざまな手法が考案されてきました。ほとんどの場合、簡易英語は、理解すべき語彙や文法などの範囲を限定することで、通常の会話には全く問題ない英語技能の速習を目指すものです。

こうした簡易英語の学習法は、古くは20世紀前半から考案されています。特に、イギリスの言語学者、チャールズ・ケイ・オグデンが1930年代ごろに提唱したベーシック・イングリッシュ(ベーシック英語)は、世界的に大きな影響を与えています。

ベーシック英語の影響を受けた簡易英語のなかでも特に有名なのは、アメリカの国営放送局VOA(ボイス・オブ・アメリカ)が通常放送で使用している簡略化された英語「VOA Special English」です。

VOAは限られた語彙と簡易な文法が使われ、ゆっくりとしたスピードで読み上げられます。ネイティブな発音を重視しつつ、英語を母国語としない人々を想定しています。やはり1500語程度に抑えられており、英語学習の教材としてさまざまな場面で活用されています。

その一方、グロービッシュは、IBMで欧州・中東・アフリカのマーケティング担当副社長だったフランス人ビジネスマン、ジャン=ポール・ネリエールが1989年に提唱した英語の考え方です。

グロービッシュは、標準的な英文法と、使用頻度の最も高い英単語1500語を用いて、道具としての英語を使いこなす考え方といえます。本来のグロービッシュはビジネスシーンに特化したものですが、グロービッシュが持つメリットは英語学習のさまざまなシーンで応用されています。

現在では、グロービッシュや簡易英語に関する考え方、学習法、学習範囲をしっかり取り上げた参考書もたくさん市販されており、この手法を自分の英語学習に取り入れる方も少なくありません。

ここでは、こうしたグロービッシュ/簡易英語について、メリット・デメリットや、英語学習に取り入れる際のコツについて取り上げていきます。

グロービッシュ/簡易英語のメリット

グロービッシュや簡易英語は、基本的な英文法の知識と最低限の語彙を学習し、短期間で英会話スキルを身につけることを目指すものです。そのため、これから本格的に英会話を学ぼうとする初心者には、基礎固めとして最適な学習法といえます。

簡易英語のなかには、中学英語の知識だけで英会話ができるようにするものもありますし、とにかく難しい表現を使わず、自分が知っている単語に置き換えて表すという学習法になります。

また、グロービッシュなどは、複雑な構文となる英文を避け、伝えたいことはひとつひとつ簡潔な短文で区切って伝える手法を取り入れています。これにより、難しい単語や文法を学ぶ必要が無く、伝えたい要点がしっかりと相手にも伝わります。

簡易英語は学ぶべき文法や語彙が少ないぶん、それを上手に組み合わせることで、伝いたい事柄に絞り込んでコミュニケーションを行うことが可能です。学習範囲が狭いぶんだけ、そのバリエーションも複雑にならず、学習の負担が少ないのも利点といえます。

グロービッシュや簡易英語は、完璧な英語を求めようとせず、1文ですべてを伝えようとするものではありません。自分がわかる範囲の単語で簡単な言い回しに置き換えたり、ポイントを箇条書きのようにシンプルな短文で伝えることで、即戦力となる英語習得法といえます。

グロービッシュ/簡易英語のデメリット

グロービッシュをはじめとする簡易英語の最大のデメリットは、英語を話す相手が同様に簡易英語で話すわけではないという点です。自分が限られた範囲の英語を駆使して話していても、相手が同じレベルで話してくれるとは限りません。

簡易英語にばかり頼っていると、一般的な日常英会話では問題が無いかもしれませんが、特に高度で専門性の高い話題になればなるほど、相手の言っていることが聞き取れなかったり、理解することができない可能性が高まります。

グロービッシュや簡易英語は、ネイティブの方が非ネイティブの方に話しかける際に、英語が苦手な相手に簡潔で平易な英語で話しかける手法としてはとても有効です。これとは逆に、日本人のような非ネイティブの方がネイティブに話しかけても、ネイティブの方がグロービッシュの範囲で話してくれるとは限らないのです。

BBCやNew York Timesなどの一般的な英字メディアは、簡易英語ではありませんが、誰が読んでも理解しやすい英語に配慮しています。その一方、英語圏の方のブログやTwitterなどを読むと、それよりは明らかに難しい英語だと気づくことがあると思います。

グロービッシュや簡易英語は、英会話にかぎらず、英語のブログ・SNS・動画サイト、英字メディアや英文メールなど、翻訳やリスニングといった点においても、基本的な範囲では対応しきれない場合が多い学習法といえます。

グロービッシュ/簡易英語はとても有用

では、グロービッシュや簡易英語は全くの無駄なのか?と言われると、決してそうではありません。むしろ、こうした手法は、英会話に必要な最低限のルールを手っ取り早く速習できる優れた学習法だといえます。

英語初心者がつまづきやすいのは、文法や語彙の厳密な正確さを求めすぎることです。体系化された英語の知識を完璧に理解しようとすることは、実践的なコミュニケーションスキルの習得という面で効率が悪すぎますし、英語学習の挫折を高めてしまう要因ともいえます。

英語は学ぶこと自体が目的では無く、コミュニケーションツールとしての1つの手段です。英語を道具として考えれば、グロービッシュや簡易英語は短期間で会話能力を導くことができる優れた学習法だといえます。

また、グロービッシュや簡易英語が提唱している「平易な言葉への置き換え」や「シンプルな短文で区切る」などのアイデアは、中級~上級者の方にもおすすめできる英会話のテクニックといえます。

グロービッシュや簡易英語は、英語の本質的な基礎を固めることができるだけでなく、うまくピッタリな表現を知らなかった時の置き換えや、要点をスマートに伝えるといったノウハウを身につけることができる非常に有用な英語学習法といえます。

もちろん、それだけではなく、あらゆる相手との英会話や、中・上級レベルに相当する英字メディア・英文メールなどに対応できるだけの、語彙や文法をはじめとする英語学習の強化も併せて行うと良いでしょう。

グロービッシュや簡易英語は、簡潔にすぐ話せるようにはどうしたら良いかと思っているすべてのレベルの英語学習者におすすめできる考え方です。これに加えて中・上級者の方は語彙力のアップや文法の強化を行うことで、あらゆるシーンに対応できる英会話能力が期待できます。

もちろん、こうした英語学習は知識を習得するインプットに偏りがちです。自分で学んだ事柄を実際の会話で駆使し、さまざまなバリエーションで英会話の応答能力を高めるためには、アウトプット力の強化に優れたオンライン英会話がおすすめできます。

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